歌唱力のある人の特徴7個、歌唱力を高める7個のボイストレーニング
2020.12.10
- 歌唱力を高めて歌が上手い人になりたい
- そもそも歌唱力って何だろう?
本記事は、歌唱力を高める方法を知りたい方に役立つ内容です。
歌が上手い人は、「歌唱力が高い」とよく言われますが、そもそも歌唱力とは何かご存知でしょうか? 歌が上手いと評価されるには、「正確な音程で安定して歌える」「声がよく響いている」「リズムに乗れている」「表現の幅が広い」など、さまざまな要素のレベルを高める必要があります。
「歌唱力が高い」と評価されている人と自分を比べると、自分に足りないものが見えてくるかもしれません。ここでは、歌唱力のある人の特徴と、歌唱力を高めるためのボイストレーニングの方法をご紹介します。
歌唱力とは?
歌唱力とは、「音程」「声の響き」「リズム感」「表現力」などを含む「歌の総合力」のことです。歌唱力が高い人には、歌を上手く歌うために必要な能力がバランスよく備わっています。
歌唱力を考えるうえで難しいのは、歌唱力は聴く人によって感じ方が異なる点です。声の好みの違いもありますし、音楽のジャンルによっても歌唱力の定義が違ってくるでしょう。ただ、上記の4つは歌唱力の高い人に共通していることが多いため、歌うときに意識してチェックしてみてください。
「歌唱力が高い」と評価されるには、ボイストレーニングで基礎能力を高めながら、表現力も身につけることが大切です。思い通りの表現をするには発声の基礎が必要となるので、まずは基本的なボイトレで基礎固めをしていきましょう。
歌唱力を高めるための練習方法は記事の後半で解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
歌唱力のある人の特徴7個
歌唱力を高めるには、まずは歌唱力が高い人の特徴を知っておく必要があります。プロの歌を聴いた時に、歌唱力がある人の特徴が何となくわかる方もいるでしょう。ただし、具体的に特徴をあげるとなると、なかなか難しいかもしれません。歌唱力のある人の特徴は次の7つになるので、1つずつ確認していきましょう。
発声の基礎ができている
歌唱力が高い人は、基本的に発声の基礎ができていて、安定した声で歌うことができています。もし音程が合っていても、不安定なか細い声であれば、聴き手は歌唱力が高いとは感じにくいでしょう。
どっしりと安定した声を出すためには、腹式呼吸のレベルアップが必要です。腹式呼吸は発声の基礎中の基礎となるので、理解するだけではなくしっかりとマスターしておきましょう。腹式呼吸の方法については後述します。
声がよく響いている
声の響きも歌唱力に大きく影響します。浴室で歌うと、よく響いて普段よりも上手く聞こえますよね。歌唱力を高めるには、響きやすい空間ではなくても、自分の身体をコントロールして声をうまく響かせられるようにトレーニングすることが大切です。
声の響きをより良くするには、一つの方法として「鼻腔共鳴」を強化することをオススメします。鼻腔とは、ミントガムやタブレットを口に含んだときに鼻が「スーッ」とする部分と想像すればわかりやすいでしょう。鼻腔共鳴をうまく活用することができれば、より響きのある美しい歌声を出せるようになります。
また、声量が小さい場合でも、声が響くことで大きな声に聴こえるため、結果として声量アップにもつながります。
歌に合わせて声量をコントロールできる
声量には、単純に「声の大きさ」だけではなく、「響きやすさ」や「通りやすさ」といった観点も含まれます。プロの歌手は声量が豊富な人が多く、ライブで迫力ある歌声に圧倒された経験がある方も多いのではないでしょうか。
ただし、必ずしも「声量が豊か=歌唱力が高い」というわけではありません。歌のシーンによって声量を上手くコントロールできてこそ、歌唱力が高いと評価されるでしょう。
たとえば、一番盛り上がるはずのサビよりも、AメロやBメロの方が明らかに大きな声で歌ってしまった場合、メリハリがなく、どこがサビなのかわからないような印象の歌になってしまいます。声量を抑えるところはしっかりと抑え、盛り上がるところでは豊かな声量で歌い上げることで、聴き手は聴いていて心地良くなりますし、歌唱力があると感じてもらえるでしょう。
このように、歌唱力を高めるには、歌への理解と声量をコントロールする能力の両方が必要です。
正確な音程で安定して歌える
歌唱力が高い人は、低い音から高い音に切り替わる場面でも正確な音程で歌えます。そのため、音程が激しく変化する場面でも、身体をうまくコントロールして正確な音程で安定して歌える練習が必要です。
1曲を最初から最後まで崩れることなく正確な音程で歌い切るのは難しいものです。音程が安定しているのも歌唱力が高い人の共通点と言えるでしょう。
曲のリズムに乗れている
リズム感がある人は、耳で聴いてベストなタイミングで身体をコントロールすることができます。走ったりもたったりしないでリズムに合わせて歌うためには、リズム感が必要です。
曲のリズムにうまく乗れていないと、声を出すタイミングも外れやすくなってしまうなど、影響を受けてしまいます。心地良くリズムを刻んで歌えることも、歌唱力の高さを決める大事な要素です。
ただ、リズム感があってもメロディや歌詞をちゃんと把握しきれていないと歌に余裕がなく、リズムを等間隔に刻めなくなったり、音程がズレたりしてしまいます。曲を何度も聴き込んで、苦手な箇所を繰り返し歌い込んで身体で覚えることができるようになると、曲のリズムもつかみやすくなるでしょう。
歌にメリハリがある
歌唱力が高い人は、音の強弱の使い分けや抑揚のつけ方が上手です。メリハリをつけて歌えるかどうかは、プロを目指したい方には必須項目とも言えるでしょう。
試しに、最初から最後まで同じ声量で平坦に歌って録音してみてください。音程やリズムが合っていても一本調子なので、聴いていてあまりグッとくる歌にはならないと思います。
たとえば、映画やドラマで、役者のセリフが棒読みだと感情がうまく伝わってこず、作品の世界に没入しにくいこともありますよね。演技もセリフに心地よい抑揚があるから心にグッときて感動したり、感情移入ができたりもします。
歌も同じです。AメロやBメロは表現を抑えめに歌い、サビや高音を出す部分で表現をダイナミックにするなど、抑揚を効果的につけることで聴き手を歌の世界に引き込むことができます。歌詞に合わせて抑揚を工夫することも大事です。
プロの歌手が、一曲の中でどのように抑揚をつけて歌っているか、注目してじっくりと聴いてみてください。
表現力がある
歌唱力が高い人は、「しゃくり」「フォール」「ビブラート」「こぶし」などのテクニックを巧みに使い分けて歌います。歌唱力を高めるために必須というわけではないですし、あえてこれらのテクニックを使わないプロの歌手もいますが、表現を豊かにするためには効果的です。
- しゃくり…少し下の音から滑らかにしゃくり上げて本来の音を出す
- フォール…本来の音から低い音に向かって滑らかにずり下げる
- ビブラート…声を波打つように上下に揺らす
- こぶし…音をうなり上げたり、素早く音を上下するように装飾をつける節回し
このようなテクニックを適切な箇所に取り入れることで、感情表現やメッセージ性が伝わりやすくなります。
歌唱力の高い歌手
歌唱力の参考に、一般的に歌唱力が高いと言われている歌手をご紹介します。以下は、ソロシンガーを対象とした歌唱力ランキングです。
歌唱力の感じ方は個人によってそれぞれ異なるため判断が大変難しいところですが、多くの方が歌唱力が高いと感じている歌手を参考にするのも良いかと思います。
【男性ソロシンガー】歌唱力が高い歌手ランキング20
1位:米津玄師
2位:小田和正
3位:久保田利伸
4位:桑田佳祐(サザン・オールスターズ)
5位:平井堅
6位:槇原敬之
7位:尾崎豊
8位:福山雅治
9位:玉置浩二
10位:山下達郎
11位:影山ヒロノブ
12位:三浦大知
13位:森山直太朗
14位:藤井フミヤ
15位:松山千春
16位:山崎まさよし
17位:井上陽水
18位:吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)
19位:星野源
20位:奥田民生
※敬称略
参照元:曲も歌唱力も最高!男性シンガーソングライターランキング 1位から10位
調査対象:20〜40代男女500名
【女性ソロシンガー】歌唱力が高い歌手ランキング20
1位:宇多田ヒカル
2位:MISIA
3位:Superfly(越智志帆)
4位:絢香
5位:平原綾香
6位:中島みゆき
7位:AI
8位:JUJU
9位:アンジェラ・アキ
10位:あいみょん
11位:May.J
12位:家入レオ
13位:大黒摩季
14位:水樹奈々
15位:松任谷由実
16位:中島美嘉
17位:小柳ゆき
18位:aiko
19位:柴咲コウ
20位:広瀬香美
※敬称略
参照元:歌唱力が高い女性ソロシンガーランキング
調査対象:20〜40代男女500名
歌唱力を高める7個のボイストレーニング
歌唱力を高めるには、「リズムが安定している」「安定した声を出せる」「正確なピッチ・音程で歌える」ことが必須です。そのうえで、表現力を身につけて、歌にメリハリをつける必要があります。
これから7個のボイストレーニングのご紹介しますので、歌唱力アップを目指したい方はぜひ参考にしてください。
腹式呼吸
腹式呼吸は、安定した声を出すために欠かせない呼吸法です。普段私たちが活動している時の呼吸は主に肺の上部を用いる「胸式呼吸」をされている方が多いため、慣れていないと呼吸しづらく感じるかもしれません。まずは、腹式呼吸の感覚をつかむことから始めましょう。
では最初に、仰向けになって呼吸をしてみてください。仰向けの状態は実は自然と腹式呼吸になっているため、感覚をつかみやすいです。お腹の辺りが膨らむ感覚になり、自然に深く息を吸えたのではないでしょうか?
今度は立って、または座った状態で、次のように呼吸をして確認してみてください。
- ステップ1背中をまっすぐに伸ばした姿勢で立ち(座り)、おへそのあたり手を置く
(ただし、肩まわりに余計な力が入らないように気をつける) - ステップ2鼻からでも口からでも良いので、息を4秒ほどかけて吸い込みながら、お腹が膨らんでいる感覚があるか確認する
- ステップ38秒ほどかけてゆっくりと息を吐く
- ステップ42・3を数回くり返す
呼気に長い時間をかけるのは、吐く時間が長いことで副交感神経がより優位になり、身体がリラックスしやすいからです。歌うときは喉をリラックスした状態にするのが望ましいので、ゆっくり息を吐いて楽に呼吸をする感覚を覚えましょう。
腹式呼吸の練習法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ロングトーン
腹式呼吸がある程度理解できて身についてきたら、次はロングトーンに挑戦してみましょう。ロングトーンは、同じ音を長く出す発声方法です。安定したロングトーンを出せるようになれば、発声の基礎が身についたと言っても過言ではありません。
安定したロングトーンには、息をゆっくり長く一定のスピードで吐き続けられることが必要です。なかなか息がもたない場合は、まず息だけを長く吐くロングブレスから始めてみましょう。声を出さずに、息を「Su―(スー)」と出し続けます。
慣れていないと、最初は10〜15秒くらいで息切れすると思います。連続でロングブレスをしたり、無理して息を吐き続けたりすると酸欠になる恐れがあるので、焦らず少しずつ秒数を伸ばしていきましょう。
ロングトーンを安定させるための練習方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
リズム感
リズム感は、リズムを刻みながら曲を何度も聴くことで、レベルアップできます。ただし、リズムのズレ方の把握と、メトロノームを使った練習は必要でしょう。
リズムを正確に刻めるようにするためには、まず「表拍」と「裏拍」を意識してみてください。たとえば「1・2・3・4・」とカウントしてリズムを刻むとすると、数字が表拍で「・」が裏拍になります。
表拍である1と2の間の裏拍「・」のタイミングをつかめると、リズムが安定して、走ったりもたったりしにくくなるので、最初はテンポを遅くしてしっかりとリズムを刻むことを優先し、慣れてきたら少しずつテンポを上げるとよいでしょう。
また、上記の練習はあくまでもタイミングを理解する(点で捉える)方法であって、本物の「リズムが良い」とは流れの中で理解する(円で捉える)能力が必要になります。タイミングがズレなくなったら、指で円を描きながら練習してみましょう。リズムは点ではなく円のように線で連続的につながっているので、指で円を描きながらリズムを取ってみてくださいね。
一回、指で円を描くのを「1」とし、1小節の間に「1・2・3・4・」と4回、円を描きます。円を描く起点は上からでも下からでも構いません。リズムを線で感じられるように練習してみてください。
また、特にバラードなどのスローテンポの曲は、リズムの意識が抜けやすいので、上記の方法で練習してみてください。スローテンポの曲もしっかりとリズムを意識することで、歌唱そのものが安定しやすくなるでしょう。
リズム感を身につける練習方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
声量
声量を上げるには、「発声に必要な筋肉を鍛える」「吐く力を鍛える」「吸う力を鍛える」の3つが必要です。
「発声に必要な筋肉」は、発声に必要な「腹斜筋(ふくしゃきん)」を鍛えるための筋トレがオススメです。
腹斜筋トレーニングの方法をここで詳しく書くと長くなってしまうので、より詳しく解説している下記の記事をご覧ください。
「息を吐く力」を鍛えるには、風船を使ったトレーニングがオススメです。風船をうまく膨らませられているときは、良い声を出せているときと同じような筋肉の使い方が自然にできています。風船を膨らませてから声を出すと、いつも以上の声量が出ると感じるでしょう。また、お祭りでお馴染みのおもちゃである「吹き戻し」も「息を吐く力」を鍛えるにはオススメです。
「息を吸う力」を鍛えるのには、呼吸筋トレーニング器具の「パワーブリーズ」がオススメです。「パワーブリーズ」は、呼吸に負荷をかけることで、吸う力を鍛えられるトレーニンググッズです。負荷に応じて3つの種類があるので、体重や運動習慣の有無に合わせて選ぶと良いでしょう。
鼻腔共鳴
鼻腔共鳴をうまく活かすことができれば、響きのある豊かな歌声を出せるようになります。鼻腔共鳴は、次の3つのステップで練習してみてください。
- ステップ1ハミング(鼻歌)だけで音階練習をして、鼻腔共鳴のイメージをつかむ
- ステップ2鼻腔共鳴を応用した発声練習をして、活かせる幅を広げる
- ステップ3慣れてきたら鼻腔共鳴を活かして好きな曲を歌って練習してみる
ハミングは、わかりやすく言うと鼻歌のことです。まずは、口を閉じて「ンンン~♪」と歌いながら、鼻のあたりで声が響いているか確認してみてください。喉に余計な力が入ったりすると響きにくくなるので、お風呂に入っているときなど、リラックスした状態でハミングの練習するのがオススメです。
鼻腔共鳴の詳しい練習方法は以下の記事で解説していますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ビブラート
ビブラートは歌うときに声を揺らすテクニックで、かけ方には主に次の3つのパターンがあります。
- 横隔膜を揺らす
- 喉を揺らす
- 顎と口を動かす
横隔膜は肺の下(みぞおちの辺り)にある板状の筋肉で、腹式呼吸では、横隔膜を上下させて呼吸をしています。横隔膜を揺らすビブラートは、横隔膜を用いて声を揺らす方法です。
横隔膜を揺らすといってもイメージしづらいですよね。試しに、「あ↑ぁ↓あ↑ぁ↓あ↑ぁ↓あ↑ぁ↓」と「あ」を上下させて声を出してみてください。声が揺れて、ビブラートのようになっていませんか?
感覚をつかみにくいときは、「あぁあぁあぁあぁあぁあぁ!わかりました!」と、大げさにうなずきながら言ってみてください。最初はゆっくりでもよいので、徐々に声を揺らす感覚をつかんでいきましょう。
これが、横隔膜で揺らすパターンのビブラートです。ビブラートを練習するときは、まずは声をどのような幅で揺らすかなど、イメージを具体的にしてから練習に臨みましょう。
ここでは練習方法の一部を紹介しました。より具体的な練習方法やイメージのつかみ方は、こちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
しゃくり
しゃくりは、少し下の音から本来の音へ滑らかにしゃくり上げることで、歌に「滑らかさ」や「深み」を加えるテクニックです。
しゃくりを習得したいときは、「しゃくり」を効果的に使っているアーティストのマネをすると良いでしょう。ただし、しゃくりは少し下の音から本来の音に移る際に、声帯の微細なコントロールが必要なため、身体に余計な力が入っているとうまくできません。声帯が柔軟に対応できるように、身体の力を抜いて練習してみてください。
しゃくりは、やり方をマスターするだけではなく、適切な箇所に入れるセンスも磨く必要があります。しゃくりをただ闇雲にたくさん入れても、上手く聴こえるわけではありません。歌が心地よく聴こえるような自然なタイミングで入れることが大切です。
たとえば、サビで低音から高音へ上がるときなど、盛り上がるポイントでしゃくりを入れたりすると効果的です。そうすることで疾走感をプラスできたり、感情表現を豊かにすることができます。
しゃくりの練習方法や入れるポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
おわりに:歌唱力を高めて歌を楽しもう
歌唱力には、声の安定性や音程、リズム感、声量、表現力など、さまざまな要素が含まれています。歌唱力の高い人は、音程を正確に取ることができるだけでなく、曲の雰囲気や歌詞に合わせて声質や声量をコントロールしたり、どのように表現するか、工夫しながら歌っているものです。
歌唱力を高める練習をするときはまずは録音して、自分の歌がどのような聴こえ方をしているか確かめてみてください。客観的に聴いてみると、改善点がわかったり新たな気づきを得られたりします。歌唱力を高めたい方は、本記事で紹介した7つのポイントを意識して練習をしてみてくださいね。