正しい腹式呼吸は歌ウマの基礎!腹式呼吸のやり方・練習方法・コツを解説
2020.03.12
- 歌うのに腹式呼吸がいいのはどうして?
- 腹式呼吸って意外と難しい…
本記事では、こうした腹式呼吸のやり方がわからない方、身につけたい方のお悩みにお答えします。
腹式呼吸は意識しすぎず、自然とできるのが理想です。寝ているときは自然と腹式呼吸をしているので、実はみなさん無意識にやっています。歌うときにも腹式呼吸を行うことで、発声や音程が安定し、長く息を吐く(ロングトーン)もできるようになります。
ここでは、腹式呼吸の練習方法やコツをご紹介しますので、発声の基礎を一緒に身につけていきましょう。
腹式呼吸とは?
呼吸法は、腹部を用いて息を出し入れする「腹式呼吸」と、胸部で行う「胸式呼吸」があります。胸式呼吸は主に肺の上部を用いて息の出し入れをするため、息を吸うと連動して肩が上がります。
腹式呼吸は、主に肺の下部を用いて呼吸する方法です。肺下部は横隔膜と近い場所にあるため、息を吸い込んだ際に横隔膜が押し下げられ、息を吐くと押し上げられます。腹式呼吸では息を出し入れするときに肩は上下せず、代わりにお腹や背中が膨らむ感覚になるのが特徴です。
日常生活で活動しているときの呼吸は「胸式呼吸」をしている方が多いですが、実は寝ているときは自然と「腹式呼吸」をしています。寝転んだ状態で息を吸い、お腹の辺りが膨らむ感覚があればそれが腹式呼吸です。
寝ているときの呼吸は、自然とお腹のあたりが膨らみますよね? 無意識に腹式呼吸をしているその自然な感覚を、歌うときにもできるのが理想です。
ボイストレーニングに腹式呼吸が必要な理由
安定した声を出したり、音に強弱をつけて歌ったりするには、息の量のコントロールが必要となります。胸式呼吸は安定して使える量が少ないため、息の量のコントロールもしにくいです。息が持続する時間が短くなるためロングトーン(同じ高さで長く声を出す)が安定しにくく、歌うのには向いていません。
また胸式呼吸は、呼吸とともに胸や肩が引き上げられ、喉が緊張した状態となり発声がしにくくなります。喉に力が入りすぎた状態で歌うと喉を傷めやすいので注意してください。
対して腹式呼吸は、横隔膜を押し下げることで肺の下部の吸い込む息の量を増やし、吐くときは息の量をコントロールしやすくなります。ロングトーンも安定しやすく、強弱もつけやすくなるのが腹式呼吸の特徴です。
腹式呼吸が身につくと、喉に無駄な力を入れずに歌えます。リラックスした状態でないと声帯にも力が入りすぎてしまい、声がこわばったり、喉が枯れたりする原因になります。カラオケで歌うとすぐに喉が枯れたり痛くなったりする方は、腹式呼吸を練習してみてください。
息を長く安定して吐き出すには腹式呼吸が必要です。ブレスコントロールができれば、ロングトーンが安定します。声帯のコントロールもしやすくなるので、ピッチも安定しやすくなります。
こうした理由から、ボイストレーニングには腹式呼吸を用いるのが鉄則になっているのです。腹式呼吸ができるようになると、フレーズの語尾がブレにくくなり、息苦しさを感じずに豊かな声量で歌い上げられ、安定してきます。
腹式呼吸で発声するメリット
- 息の量をコントロールしやすい
- ロングトーンが安定しやすい
- 強弱をつけやすい
- 喉に無駄な力を入れずに歌える
ロングトーンの練習方法は、以下の記事でより詳しく解説しています。
腹式呼吸の方法
腹式呼吸の基本方法をご紹介しますので、しっかり把握しておきましょう。座っても、立っていても、寝ていてもできますから、ぜひ自分が分かりやすい体勢から取り組んでみてください。
- 1:姿勢を正して、おへそのあたりに手のひらを置く
- 2:鼻でゆっくり空気を吸い込みながら、おへそのあたりが膨らんでいるか確認する
- 3:吐く時に、吸う時以上に長い時間をかけてゆっくりと吐く
具体的な例として、「4秒で吸って8秒で吐く」ように呼吸してみてください。吸うときの倍の時間をかけて吐くのは、呼気に時間をかけると、副交感神経を優位にして体をリラックスさせられるからです。
歌っているときに腹式呼吸ができているかわからなくなったときは、色々と考えるのはやめて、思い切って寝たまま歌ってしまいましょう。寝ているときは自然と腹式呼吸ができているので、お腹に手を置いて確認すると腹式呼吸ができているかわかりやすいです。
寝ているときは自然と腹式呼吸をしているので、寝る前にお腹に手を置いて感覚をつかむ練習をしてみるのもいいですね。その感覚を歌にも応用するために、立っているときも自然とお腹を使った呼吸ができているか確認してみましょう。
ただし、「さあ歌うぞ!」と張り切りすぎると息を吸いすぎてしまい、最終的に息を吐き切れずに空気が余って溜まっていきます。そうなると、だんだん浅い胸式呼吸になって苦しくなってしまいます。自然と腹式呼吸ができていても、鳩尾(みぞおち)を越えて胸の方まで空気が押し迫ってくる感覚があれば、吸いすぎの可能性があります。歌っているときに呼吸が苦しいなと感じたら、一度息を吸いすぎていないか確認してみましょう。
毎日実践!腹式呼吸の練習法
では実際に、歌につなげられる腹式呼吸はどのように練習するのが効果的なのでしょうか。
まずは、腹式呼吸のポイントでもある、「下腹部を使って呼吸する」「肩が上下しない」といった感覚を体感しましょう。
- 1:座った状態で脚(膝上あたり)に頬杖をつく
- 2:そのまま息を深く吐き、吐き切った後に力を抜く
吐いたあとは「息を吸うぞ」と意識するのではなく、力を抜くようにしましょう。息を吐き切って力を抜けば自然と息が吸い込めるので、意識する必要はありません。意識せずとも、息がお腹に入っていくのを実感できるはずです。
実際の練習は以下の動画を参考にしてください。
次に、体勢を起こして座ったまま実践していきます。
- 1.お腹に手を当てる
- 2.そのまま息を吐き、吐き切ったら力を抜く
立った姿勢のときも、吐き切ったら力を抜いて自然に息を吸い込める状態にします。腹式呼吸ができている目安としては、お腹に当てている手に、バネのように反動で跳ね返す感覚があるかを確認してください。
立ったまま腹式呼吸を行うと、重心が上がりやすくなってしまうため、胸式呼吸のように肩が上がってしまいがちになります。お腹に息を入れるイメージで、重心を低めにする意識を忘れずに実践するのがポイントです。
腹式呼吸が上手くいかない場合は、以下の点に注意して取り組んでみましょう。
- 脚を肩幅に広げる(重心を安定させる)
- 骨盤を起こす(下っ腹が緩むのを避ける)
- 少しアゴを引く(後頭部からカカトが一直線になるイメージ)
ただし、姿勢を意識しすぎると体が固くなり、余計に呼吸しにくくなることもあるので、あくまでもリラックスした状態で行いましょう。
この練習も動画でご覧いただけます。
リラックスした状態で腹式呼吸をしよう
リラックスしている場面では、基本的に人は腹式呼吸を使っています。過度に不安になったり、気合いを入れすぎたりせずに、ラクな気持ちで練習に臨むようにしましょう。
どうしても腹式呼吸できているか分からない人は、まずは寝る姿勢でトライしてみてください。繰り返しになりますが、人は寝る姿勢のとき、自然と腹式呼吸になっているので確認しやすくなっています。
「歌を歌うのが上手いなぁ」と感じる点は人それぞれですが、声に響きがある発声も、長く安定してフレーズ語尾を伸ばせる発声にも、腹式呼吸は大きく関わっています。腹式呼吸はさまざまな発声方法に欠かせない基礎中の基礎ですから、毎日実践して当たり前の呼吸として身につけておきたいですね。
おわりに:リラックス度合いが鍵!歌ウマの基礎を腹式呼吸で固めよう!
腹式呼吸はリラックスした状態で行うのが大事です。お風呂に入っているとき、寝転んでいるときなど、体がリラックスしていると自然と腹式呼吸になっているので、その感覚からつかんでいきましょう。ストレスのかかる環境や心身の状態も呼吸に影響するので、自分がリラックスできる穏やかな状態を作ってトレーニングしてみてくださいね。