ファルセットは裏声の一種!ファルセットの出し方と練習方法
2020.02.27
- ファルセットはどういう発声方法なの?
- 歌にファルセットを取り入れたいけど、うまく出せない…
本記事では、こうしたファルセットに関する疑問や悩みにお答えします。
感情を揺さぶるような繊細な歌声をファルセットで歌うのは難しいですが、ファルセット自体はそれほど難しくありません。裏声を使った発声法の中で、ファルセットは比較的マスターしやすいとも言われており、練習を重ねれば、吐息のような心地いい歌声を響かせることができます。
ファルセットの出し方と練習方法を解説しますので、ファルセットで歌えるようになりたい、ファルセットにもっと感情をのせたいという人は、一緒に声の魅力を引き出していきましょう。
ファルセットとは?
ファルセットとは、「息漏れの多いやわらかい裏声」を指します。喉に力を入れすぎずに吐息に声をのせて届けるイメージで発声する声です。
後ほど詳しく解説しますが、芯のある裏声で発声するヘッドボイスや、地声とファルセットの中間であるミックスボイスとは異なります。いずれも裏声を応用した発声法ですが、声の出し方が違いますし、声の性質も違うので、分けて考えると頭で整理しやすくなります。
アーティストでは、森山直太朗さん、EXILEのATSUSHIさん、平井堅さん、宇多田ヒカルさん、中島美嘉さん、絢香さんなどがファルセットを上手く操るボーカリストとして挙げられます。耳元で聞いても聴き心地の良い、吐息のような歌声です。イメージできましたでしょうか?
ファルセットを習得する効果
ファルセットが出せるようになると、高音でも喉へ負担をかけずに歌えるようになり、歌える曲の幅もグッと増えていくでしょう。また、甘い雰囲気を出したり、優しさや切なさのある声を出せたりするため、聴く人を惹き付ける歌い方ができるようになります。
ファルセットは裏声の一種
ファルセットは裏声の一種であるため、必ずしも「裏声」=「ファルセット」というわけではありません。ほかには、ヘッドボイスという裏声を使った発声方法もあります。ですので、厳密にはファルセットは「裏声の一種」です。
ファルセットとヘッドボイスの違いは以下です。
ファルセット
ファルセットは、吐いた息に声をのせる優しい響きの発声方法です。声質は柔らかく、通常のメロディーはもちろん、間奏につながる部分で歌詞にはない部分(ha~、fu~など)を歌いあげる際に使用されることも多いのが特徴です。優しさや切なさを含んだ声や甘い歌声になります。
ヘッドボイス
ヘッドボイスは、発声するときに頭の上から声が突き抜けるように響く裏声の発声方法です。ファルセットと比べると息漏れが少ないので、声に芯が入ったような歌声になります。高音を際立たせて、曲にインパクトを与える発声方法で、歌にも抑揚が付きやすくなり聴きごたえが出てくるでしょう。
ヘッドボイスについては、以下の記事で詳しく解説しています。
きれいな高音を目指そう!ヘッドボイスの出し方とコツを解説
発声方法の分類の仕方
裏声を使った発声方法として、「ミックスボイス」がよく紹介されます。「ミックスボイス」≒「ミドルボイス」と表記されることもありますし、どう違うのかわかりにくいですよね。発声方法は、「声の響く場所」と「声の質」で分類するとわかりやすくなります。
声の響く場所
まずは、「声の響く場所」で分けて考えてみましょう。「声の響く場所」は、「胸」「頭」「鼻腔(顔のあたり)」など、発声方法によって異なります。
- チェストボイス(胸に響いている)
- ミドルボイス(鼻腔のあたりに響いている)
- ヘッドボイス(頭に響いている)
上記のように、声を「体のどこが響いているか」で分類するとわかりやすいです。胸に響いていればチェストボイスに、頭に響いていればヘッドボイスになります。ミドルボイスは鼻腔(顔全体をイメージ)に響いている発声方法です。わかりにくい場合は耳を塞いで声を出してみましょう。体のどこに響いているかが明確になります。
もちろん、チェストボイスとミドルボイスの境目・ミドルボイスとヘッドボイスの境目の感覚には個人差がありますので、まずは大まかにこの3種類の違いを認識できることが大切です。
声質
「ファルセット」を理解する際、「地声」「ファルセット」「ミックスボイス」の3つの「声質」に分けて考えます。ミックスボイスは「地声とファルセットの中間の声質で発声する方法」です。
- 地声
- ファルセット
- ミックスボイス
詳しくは以下の記事で解説しているのでご参照ください。
ファルセットの出し方
ファルセットは、たくさんの息を流しながら柔らかい音を生み出すので、しっかりと声を出してもいい場所で練習するのがおすすめです。優しい印象だからといって少ない息でコントロールしようとすると、喉に変に力が入ってしまい、うまく発声できません。
ファルセットを発声するには、「喉をリラックス」させて臨みましょう。
ファルセットを出すには、
- 喉をリラックスさせる(喉を緊張させない)
- 腹式呼吸で息の燃費を高める
- 鼻歌(ハミング)やリップロールで練習する
- 長く安定をキープできるようにする
- 地声と裏声の換声点を知る
といったことを心掛けて発声していきます。
喉に力が入ってしまうと、声帯がきつく締まりすぎてしまうため、うまくファルセットが出せません。喉周りの筋肉を緩め、リラックスした状態で発声しましょう。リラックスして「いい発声」ができると、喉の存在そのものがない感覚になります。
ファルセットで高音を出そうとすると喉に力が入ってしまう、腹式呼吸がうまくできないという人は、次に紹介する「リップロール」の練習がおすすめです。
ファルセットの練習方法
ファルセットの練習には鼻歌(ハミング)やリップロールがおすすめで、息を漏らす感覚や喉の力を抜いて発声する感覚を習得できます。柔らかさをイメージしながら行うのが効果的です。
鼻歌(ハミング)でファルセットの練習
まず、ハミングでファルセットを出す練習をしてみましょう。口を閉じて鼻から息を吸い、発声してみてください。リラックスしながらハミングで発声し、徐々に高い声を出していくと、地声から裏声に変わる感覚が分かると思います。
ハミングで発声する時は、喉に力を入れないように気をつけましょう。お風呂のようなリラックスできる場所でするのがおすすめです。
リップロールでファルセットの練習
リップロールは、息を吐きながら唇をブルブルと振動させて発声する練習方法です。「ブルルルルル」と唇を震わせながら発声してみてください。うまくできない場合は発声せず、唇を震わせる練習からしましょう。または、口角を指で軽く持ち上げるとリップロールがしやすくなります。
リップロールをしている時は、「喉がリラックスしている状態」になっているので、ファルセットの練習に最適です。腹式呼吸の練習にもなるので、ぜひ練習してみてください。
リップロールの長さをどのくらい維持できるかどうかも練習に組み込んでみましょう。声が出しにくい場所や時間帯での練習であれば「息のみ」のリップロールでも十分練習になります。野球で言う「素振り」のような感覚です。実際に球を打たなくても体の使い方のイメージを覚えることができます。
リップロールの練習方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
おわりに
ファルセットの出し方や練習方法は、回数を重ねることも大切ですが、着実にひとつずつ意識して練習していく必要があります。参考にしたいアーティストの歌を真似するにしても、喉を傷めないように無理のない音域から挑戦し練習を重ねてみてくださいね。