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ミックスボイスを出すための5つのステップ、練習方法とできない原因を解説

ミックスボイスを出すための5つのステップ

  • ミックスボイスってよく聞くけど、どういう発声方法なの?
  • ミックスボイスってどうやって練習するの?
  • プロじゃなくてもミックスボイスは出せるの?

本記事では、こうしたミックスボイスに関する疑問にお答えします。

歌いたい曲に高音があると、どうしても苦しそうな発声になってしまう人は多いのではないでしょうか。伸びやかな歌声に欠かせないミックスボイスは、特に中音域から高音域にかけて無理なく伸びやかに歌う発声方法です。

ミックスボイスの練習方法やうまく発声できない原因を知って、高音をきれいに発声できるよう声の幅を広げていきましょう。

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ミックスボイスとは

ミックスボイスは「地声とファルセットの中間の声質で発声する方法」です。さまざまな響きを操れる発声方法で、硬い響きだけでなく軟らかい響きも作ることができます。

高音になると声が細くなりがちですが、ミックスボイスの出し方を習得できれば、高音も声にハリを持たせたまま歌えるようになります。

スピッツの草野マサムネさん、平井堅さん、秦基博さん、official髭男dismの藤原聡さん、King Gnuの井口理さんなどがミックスボイスを操る男性のアーティストの代表です。

ミックスボイスでも「軟らかい寄り」か「硬い寄り」かによって声質が変わります。先の例というと、スピッツの草野マサムネさんや平井堅さんは軟らかい寄りのミックスボイス、秦基博さんはどちらかと言うと硬い寄りのミックスボイスです。

official髭男dismの藤原聡さん、King Gnuの井口理さんは、軟らかいミックスボイスと硬いミックスボイスの両方を使いこなす「万能型」に分類されます。

女性でミックスボイスを操るアーティストは、宇多田ヒカルさん(軟らかい寄りのミックスボイス)、YUKIさん(硬い寄りのミックスボイス)、東京事変の椎名林檎さんやMISIAさん(万能型のミックスボイス)です。

  • 地声とファルセットの中間の声質で発声する方法
  • さまざまな響きを操れる発声方法
  • 「軟らかい響き」から「硬い響き」まで作れる

声質について

「ファルセット」を理解する際、声質を「地声」「ファルセット」「ミックスボイス」の3つのに分けて考えてみましょう。

  • 地声
  • ファルセット
  • ミックスボイス

さらに、以下のように「硬い」から「軟らかい」の4段階で分類すると分かりやすいです。

【硬い】1→2→3→4【軟らかい】

「1」に寄るほど「硬い声質」に、「4」に寄るほど「軟らかい声質」になります。では、これに「地声」「ファルセット」「ミックスボイス」の3つの声質を当てはめてみましょう。

【硬い】地声(1)→ミックスボイス(2・3)→ファルセット(4)【軟らかい】

地声は硬く感じる声質なので「1」になります。ファルセットは軟らかく感じる声質なので「4」です。ミックスボイスは「硬い」と「軟らかい」の中間に位置する声質なので、「2」か「3」になります。

「2」か「3」としているのは、ミックスボイスは「硬い響き」から「軟らかい響き」まで様々な声質を出せるからで、「硬い寄りのミックスボイス」か「軟らかい寄りのミックスボイス」によって声質の段階が変わるからです。一緒くたにせず、「2」か「3」であるというように分類した方が理解しやすくなるでしょう。

上記の分類は、カレーの「中辛」をイメージすると分かりやすいです。表記上は「中辛」であっても、「辛口」寄りの「中辛」もあれば、「甘口」寄りの「中辛」もありますよね。声質も同じで、「硬い」寄りの「ミックスボイス」もあれば、「軟らかい」寄りの「ミックスボイス」もあります。

練習をして理解が深まれば、「2」や「3」だけではなく、「1.5」「2.5」「3.5」といった細かいニュアンスの違いにも気づけるようになるでしょう。

ミックスボイスを習得するメリット

ミックスボイスが出せるようになると、高音になる部分で喉を痛めるような歌い方をしなくて済みます。力みすぎて声がひっくり返ることも少なくなるでしょう。

ミックスボイスを習得できれば、さまざまな響きを操れるようになるので、いろいろな曲を歌いやすくなります。

ミックスボイスの出し方

ミックスボイスは、喉を開いたまま声帯を適度に閉じて息漏れ具合をコントロールして発声するのが基本です。「声帯を閉じる」と言われても、いまいちピンとこないですよね。

まずは、口を開いて楽な状態で「アー」と声を出して、途中でピタッと息を止めたり、声を出したりして繰り返してみてください。そのとき、喉の奥あたりで何かが動いたり止まったりしている感覚がありませんか?そこが声帯と呼ばれる器官で、声帯を完全に閉じたことで息がピタッと止まったのです。

また、鼻腔に声を響かせながら、お腹から鼻、頭頂部とつながって声が出ていくイメージを持って発声することが大切です。ファルセットが出しやすいよう、リラックスして練習に臨むことがミックスボイスの出し方の基本となります。

また、エッジボイスから高音域につなげられるようになると、ミックスボイスのコントロール力がアップします。
※エッジボイス…声帯同士が擦れ合っているだけの、いわゆるガラガラした声。朝起きた直後に「おはよう」を言うときのようなガラっとしたような声

ミックスボイスで歌う女性

ミックスボイスを出すための5つのステップ

ミックスボイスは、簡単に言うと、地声とファルセットの中間の声で歌う発声方法なので、地声の発声から徐々にキーを上げ、ファルセットになる地点を確認しましょう。換声点(地声とファルセットが切り換わる音)の往復を力まずにできるように発声するための練習が、ミックスボイスの出し方を練習する大きなポイントになります。リラックス状態で臨みましょう。

1:喉を開いて歌う

まずは、喉を大きく開いて歌う練習を始めましょう。あくびをするときのように喉を全開にします。口を閉じずにそのまま、自分の口内を鏡で確認してみましょう。しっかり口の中が開いて喉の奥が見える状態になっているのが「喉が開いた状態」です。舌の根っこの部分が下がっていて喉の奥が見えないときは、舌根を下げる意識をしてみましょう。

喉を開く感覚がわかりにくい方は、寒いときに手を温めるように「ハァ〜」っと息をあててみてください。このときは喉が開いた状態になっています。

喉の開き方の感覚がつかめない方は、以下の記事を参考に練習してみてください。

2:声帯を楽に閉じる

喉を開く感覚が掴めたら、次は声帯を楽に閉じる練習を始めましょう。

息を吸い、できるだけ長く吐き出します。口で止めずに喉奥で息を一瞬で止めてみると、声帯が自然に閉じた感覚を掴みやすいでしょう。高い音になると喉を締めて出そうとしてしまいますが、喉は開けて、声帯を楽に閉じることが大事です。

スポーツで円陣を組んで「おー!」と声掛けするときのような声をイメージすると分かりやすいでしょう。このときは、喉が開いて声帯が自然に閉じた状態になることが多いです(大きな声を出そうとして喉に力が入りすぎることもありますが)。

3:地声からファルセットに切り換わるポイントを探る

あくびのときに息を吸い込むと喉を奥が開く感覚がわかると思います。その状態のまま地声で「アー」と発声し、1音ずつ高くしていきましょう。男性はlowG(低いソ)、女性はmid1G(中間のソ)からスタートし、「地声ではキツイなあ」と思う高さまで音を上げていきます。音が高くなっても、あくびときの喉が開いた状態を維持しましょう。
※ピアノアプリを使うと練習しやすいです。

ファルセットに切り換えないとキツイ音程になったら、その音をメモしておきましょう。そこがあなたの換声点(地声とファルセットの境目)です。換声点が明確にわからないときは、「このあたりかな?」とざっくりとした音域で構いません。「地声からファルセットに切り換わる音のエリア」を把握することが大事です。

ちなみに、地声での平均音域は、男性がlowG(低いソ)〜mid2G(中間のソ)、女性がmid1G(中間のソ)〜hiC(高いド)と言われています。音域は個人差がありますが、男性ならmid2G(中間のソ)、女性ならhiC(高いド)の手前あたりを換声点の目安にするとよいでしょう。

日本人の平均音域を表した表

「同じ音」で、地声→ファルセット→地声→ファルセットと交互に出す練習をしてみてください。交互にできるように練習できていないと、サッカーでアイコンタクトができていない状態でノールックパスをもらうようなものなので、「地声とファルセットの連携力」をアップしていきましょう。

4:喉に力を入れずに高い音を出す

換声点から上の高い音を発声する際も、できるだけファルセットに切り換えずに発声してみましょう。このときも、喉を開いた状態(声帯は楽に閉じる)を維持してください。喉に力を入れて無理に高い音を出そうとせず、地声とファルセットが混じったような声質になっているかチェックしてみましょう。高い音を出すときもできるだけ息の量を一定に保ち、大きい声を出さなくても高い音が出るように練習してみてください。

5:鼻腔に声を響かせる

ミックスボイスは、鼻腔に声を響かせるのも大事なポイントになります。鼻腔は鼻の奥にある空間で、ミントタブレットなどを口に含んだときに、鼻の奥がスーッとする場所です。

この鼻腔に声を響かせる感覚は、ハミング(鼻歌)で発声するとつかみやすいです。口を閉じた状態で「ン〜」と鼻のあたりで声を響かせるように発声みてください。ハミングをするときに、鼻を覆うように紙(A4くらいの大きさ)をピッタリつけ、紙がビリビリと震える感覚があれば鼻腔に声が響いています。息の量が少ないとビリビリを感じにくいので、震える感覚がないときは息の量を少しずつ増やしてみましょう。

ハミングで、低い音から高い音をスムーズに上げ下げしてみると、主に身体のどこに共鳴しているかがつかみやすいです。男性ならlowG(低いソ)からmid2G(中間のソ)、女性がmid1G(中間のソ)〜hiC(高いド)を1音ずつ区切らずつなげて発声してみましょう。このときも喉を開くことを意識して、高い音になっても喉を開いた状態を保ってください。

共鳴の感覚がつかめたら、口を開いて同じように低い音から高い音までつなげて発声してみます。換声点あたりの音に来たときに裏声に切り換わらず、スムーズに高い音が出せるのが理想です。

鼻腔共鳴の具体的な練習方法は、以下の記事をご覧ください。

ミックスボイスができない原因

ミックスボイスの練習を繰り返しても、なかなかうまく発声できない人には、次のような原因が考えられます。

1つは、高音の発声時に力んでいることです。喉に力を入れて高音を絞り出す発声はミックスボイスとはいえません。ミックスボイスは、高音域を楽に発声するのが理想です。どうしても力が入ってしまう方は、お風呂で楽な気持ちで歌うときのような、リラックスした状態で発声してみましょう。

もう1つ、腹式呼吸が身についていないことも原因として考えられます。肺の上部を主に使って行われる胸式呼吸だと、喉周りに力が入ってしまいやすく、腹式呼吸と比べると息のコントロールもしにくいです。自然と腹式呼吸ができるようになると、喉にかかる負担が減るのを感じられるでしょう。

ただ、腹式呼吸も意識しすぎると体が硬くなってしまうので、自然にできる状態が理想です。寝ているときは自然と腹式呼吸になるので、わからなくなったら思い切って寝たまま歌ってしまいましょう。そのときの感覚を覚えて、立って歌うときでも無意識に腹式呼吸ができるといいですね。

腹式呼吸ができているのにミックスボイスができない場合、無理な姿勢になっていたり、あごが上がっていたりすることもありますので、正しい姿勢で練習するのも意識してくださいね。

腹式呼吸の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。腹式呼吸ができているか自信がない方は、記事を読んで呼吸を見直してみてくださいね。

おわりに:ミックスボイスでどんな歌も歌いこなそう!

ミックスボイスが出せれば、低音と高音が繰り返されるような曲や、高音が続く歌でも、無理なく歌えるようになります。聴き心地の良い歌声は聴く人を感動させますので、発声を学ぶ人にとっては習得しておきたい技術といえるでしょう。

まずは、ミックスボイスの出し方が上手なアーティストの曲をよく聴いてみて、そして現在の自分のできているところとできていないところをきちんと把握したうえで、練習を重ねて近づけるように努力してみてください。そうすることで効果もはっきりと感じられますよ。

この記事の監修

多田 亘佑講師(ボーカル)幼少期から様々な音楽に触れ、高校では合唱の全国大会に出場。大学からアカペラの活動が本格化し、ブライダル関係を中心に雪まつり、スキー場のカウントダウンライブなどのイベントに多数出演。ハモネプで全国優勝した『じゃ~んずΩ』(現:JARNZΩ)のボイストレーニング・編曲指導・音楽プロデュースを経験後、2009年よりシアーミュージック札幌校に所属。 年間最大2500以上のレッスン実績があり、初心者からプロ志向の方を対象に、カラオケ上達から音楽活動のバックアップまでと目的に応じて幅広く展開。風船を始めとした身近な道具を用いたトレーニングや、独自視点の高音克服トレーニング・完全コピー(歌唱分析)・ハモリなど追究したオリジナルメニューで理解度・体感度・上達度の高いレッスンを特徴としている。

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