歌う前にタングトリルで舌のウォーミングアップ!練習方法やできない原因を解説
2020.03.12
- タングトリルがうまくできない…
- タングトリルはどういう効果があるの?
本記事は、このようなタングトリルに関する悩みや疑問にお答えします。
ボイストレーニング前のストレッチとして多く用いられる「タングトリル」は、気軽に行えて、かつ発声に効果的な練習です。ただ、簡単に思えるトレーニングですがコツが必要なので、なかには思うようにタングトリルができない方もいるでしょう。
本記事では、タングトリルがうまくできない原因を紐解きながら、練習方法やコツをご紹介します。トレーニングやテクニックとして使えるようにマスターしていきましょう。
タングトリルとは?
タングは「舌」、トリルは音楽用語で「主音符と2度上の音を交互に高速で繰り返す奏法」を指します。難しい音楽用語はさておき、タングトリルは「高速で巻き舌を繰り返す」イメージです。口の中で吐き出す息で舌を震わせることで、「トゥルルルルルル…」というような「ラ行」が連続する音を発声します。
「プルルルルルル…」と電話の呼び出し音の口真似をイメージするのがわかりやすいでしょう。タングトリルなしだと「プルルルルルル…」を早く言えません。タングトリルを使うことで、「ル」を素早く繰り返すことができます。
タングトリルをする目的・効果
ボイトレにおいてタングトリルを練習する目的は、以下の2つです
- 舌や喉周りの筋肉をリラックスさせる
- 吐く息の量を一定にする
タングトリルは舌の筋肉をリラックスさせないと上手くできません。タングトリルを練習することで、舌や喉周りの筋肉をリラックスさせ、発声しやすい状態を作ることができます。
タングトリルは舌を動かすだけでなく、吐く息のコントロールも必要です。安定して長くタングトリルを持続させるには、吐く息の量を一定に保たなければなりません。タングトリルは安定して息を吐く練習にもなります。
タングトリルは舌をリラックスして行うため、歌う前のウォームアップにも最適です。運動をする前にストレッチをして体をほぐすのと同じように、歌う前には舌や喉周りの筋肉をほぐす必要があります。歌う前にタングトリルをすることで、舌や喉周りの筋肉がほぐれた状態となり、発声しやすくなるのです。
タングトリルの方法
タングトリルの基本的なやり方をマスターして、歌う前の準備を万全に整えられるようにしていきましょう。
基本の方法
では、タングトリルの方法を解説します。
- 1:舌先を前歯の裏の付け根あたり(上顎の前側)に当てる
舌の先端を上顎の前あたり、前歯の裏にちょうど触れないくらいの位置に当てます。感覚的には、「ラ行」を発音する前の舌の状態です。 - 2:力まずに息を吐き続け、舌を震動させる
息は上や下に向かないように、まっすぐ吐きます。上顎と舌先が合わさった部分を、息がすり抜けていくようなイメージです。
タングトリルのコツ
うまくできない方は、まず舌を「ラ」を発音する前の状態にしてください。鏡で口の中を見ると、「ラ」を発音する直前は舌の先端が上に持ち上がっているのが確認できるでしょう。「ラ」を実際に発音すると舌が下がるので、発音前の状態です。
その状態で、舌の先端に向かって息を吐き、舌を震わせます。このとき、常に舌の先端を上顎に軽くくっつけることを意識してください。なぜなら、「息を吐く」→「舌の先端が少し下がって息が漏れる」→「舌先が戻る(上顎にくっつく)」を繰り返すことでタングトリルができるからです。
「ラ」でタングトリルをするのは難しいので、「ル」でやってみましょう。まずは、「ルルルル…」で練習してみてください。
できる人は簡単にできてしまうテクニックですが、できない人にとっては、初めの一歩が一番難しいはず。舌をうまく震わせられるようになれば、いつでもどこでもタングトリルでウォーミングアップできますよ。
タングトリルができない原因は?
タングトリルができない原因は、大きく3つあります。
ひとつは、舌に力が入りすぎているケースです。タングトリルは舌をリラックスさせた状態で行うので、舌に力が入っていると舌を震動させられません。タングトリルをするときは、体をリラックスさせ、気楽な気持ちで取り組んでみてください。好きな曲を「ラララ♪」で軽やかな気持ちで歌って、リラックスしてからやってみるのもいいですね。
もうひとつは、息が漏れすぎていることです。タングトリルをするには息を吐き出す必要がありますが、漏れすぎるとうまくできません。安定した、より「鋭い息」を意識してみましょう。
できない方は、最初の舌の状態と息漏れの量を確認してみてください。息を吐いたときに、「スーッ…」とたくさん息が漏れていませんか?まずは舌で上顎を密閉した状態にしましょう。その状態で息を吐き出すと舌先が下がって息が漏れますが、すぐにまた舌先が上顎に自然と戻るようになれば、第一段階はクリアです。あとはそれを繰り返すことができれば、タングトリルの完成です。
舌が長い(または短い)、舌が厚いなど、身体的な原因でタングトリルがうまくできない場合もあります。
上記の原因に特に当てはまらないけれど、コツを意識してもタングトリルができない…という方は、実際のレッスンで確認して頂くことをおすすめします。専門のトレーナーができない原因をチェックした上で、練習方法をレクチャーします。リップロールなどで補完する、「ラ」を早くするなどで補完する方法もありますので、ぜひ相談してみてください。
日頃からできるタングトリルの練習方法
タングトリルは、とにかく舌先を前歯の裏の付け根あたりに当てることを意識した練習方法が効果的です。
まず、練習する前に舌の筋肉をほぐすため、舌で口内を上下左右なぞりながら回転させてみましょう。左回し3回、右回し3回程度で構いません。
次に、「ル」を発声します。舌が前歯の裏の付け根あたりに当たることを意識して「ル」を繰り返し、ゆっくり発声してください。そして、「ル」を連続で発声してみましょう。少しずつスピードを上げて、タングトリルに近づけていけるように意識します。
慣れてきたら、「ララララ…」「リリリリ…」「ルルルル…」と音を変えて発声してみましょう。音が変わると口の形が変わって頬の筋肉を使うので、ウォーミングアップの効果が高まります。
息を吐くときは、腹式呼吸になっているかチェックしてみてください。腹式呼吸でタングトリルができると、安定して強く息を吐く練習になりますし、リラックスした状態で息を吐くこともできるので喉を痛めずに練習できます。
腹式呼吸ができているか分からない方は、以下の記事をご参照ください。
おわりに:タングトリルで舌や口元を柔らかくして歌おう
歌う前には、舌や頬、唇といった柔軟にコントロールしたい箇所のウォーミングアップが欠かせません。タングトリルは、リップロール同様、ボイストレーニングでも柔軟体操の1つとして有効な練習方法です。多くの効果が見込めるトレーニングですから、ぜひ習得して歌ウマにつなげてみてはいかがでしょうか。